武田ゼミ4年生、韓国の小学校を訪問する!

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経済学部武田ゼミ4年の今枝実紀です。

経済学部には、ゼミと連携したグローバル教育「グローカル・フィールド・スタディーズ(GFS)」があります。武田ゼミでは、3年生のプレゼン大会と並び、2年生でのGFSが大きなイベントとなっています。これまでは2年生のみの取り組みでしたが、2025年度からは初めて4年生も参加することとなり、私もその一員として韓国を訪問しました。

2025年9月5日(金)から8日(月)にかけて韓国を訪問し、大田三川初等学校での国際交流や、歴史館・博物館での実地調査を行いました。本記事では、その様子に加え、現地で感じたことや学んだことを紹介します。

特別な背景から始まった今回の交流

今回の訪問には、特別な背景がありました。大田三川初等学校6年2組の担任である金先生は、中央大学武田ゼミと釜山教育大学との第2回(2017年度)交流会に、釜山教育大学の学生として参加された方です。そのご縁から今回の交流が実現しました。
8年の時を経て、学生時代に参加された学生が、今度は小学校の先生として私たちを迎えてくださったのです。この再会がきっかけとなり、武田ゼミと韓国の小学校との新たな交流の場が生まれました。

渡韓前の準備

私たち4年生が韓国研修に参加することが決まったのは6月でした。小学校を訪問し、私たちと韓国の小学生がお互いに発表を行うこと、日本の遊びを一緒に行うという交流プログラムからなるものでした。9月上旬が訪問日でしたから、準備期間は3か月でした。

発表テーマには「食品サンプル」を選びました。韓国にも食品サンプルはありますが、どのように作られているのかや実際の手触りまではあまり知られていないのではないかと考え、題材にしました。資料作成や実物を準備するため、東京・合羽橋の元祖食品サンプル屋を訪れ、天ぷらやレタスのサンプルを作りました。

プレゼンに向けた準備の中では、表現に「やさしい日本語」を取り入れました。シンプルに伝える難しさには、2年次のGFSや3年次のプレ大でも向き合ってきましたが、今回の発表準備ではその経験を踏まえ、より丁寧に言葉を選び直すようになり、発表で使う表現一つひとつを見直す機会となりました。

また、日本の文化を体験してもらうために、わなげ・けん玉・ベーゴマ・折り紙の4種類の遊びを用意しました。役割を分担し、それぞれが当日に備えて練習を重ねました。

国際交流―大田三川初等学校にて

当日の私たちの発表では、スライドごとに笑ったりうなずいたりと子どもたちが積極的に反応してくれました。食品サンプルを手にした子どもたちは興味深そうに触れたり眺めたり、匂いを嗅ぐ様子もあり、関心を持ってもらえたことが印象的でした。

韓国の小学生も6チームに分かれ、「祭り」「アイドル」「スポーツ」など多彩なテーマで発表を行ってくれました。パワーポイントに動画やアニメーションを取り入れる工夫が見られ、日本の小学校が授業の補助としてICTを活用しているのに対し、表現のツールとして活用している点が特徴的でした。

また、簡単な日本語を交えながら積極的に話しかけてくれ、アニメやアイドルの話題で盛り上がりました。その中では、堂々と英語を話す姿も目立ちました。発音がはっきりしていて聞き取りやすく、自分の考えを積極的に伝える様子は、小学生とは思えないほど高いレベルだと思いました。

学校給食を体験して

昼食には学校の給食をいただきました。辛味の効いたおかずやわかめスープ、デザートのゼリーなど、日本の給食とは異なる献立が並び、文化の違いを実感しました。私には少し辛く感じる味付けも、児童たちは慣れている様子で抵抗なく食べていました。ただし、全てを完食するわけではなく、食べられる分だけ食べ終えるとすぐに片づけ、校庭へ遊びに行っていました。日本の「残さず食べる」文化とは異なり、食を通じても生活習慣や価値観の違いを感じました。

給食後の休み時間には、教室で『進撃の巨人』や『推しの子』のミュージックビデオがYouTubeで流れ、子どもたちが楽しそうに見ていました。中には、「心臓を捧げよ!」と『進撃の巨人』のセリフを日本語で口にする児童の姿も見られ、日本のアニメや音楽がすでに身近な存在になっていることを改めて感じました。

歴史を学ぶ

2日目と3日目には、歴史館や博物館、美術館を訪れました。なかでも特に印象に残ったのは、釜山の国立日帝強制動員歴史館です。ここでは、日本の植民地支配下で多くの朝鮮半島出身の人々が強制的に労働へ動員された歴史が紹介されていました。1500社を超える企業名が映像で流れる展示は深い印象を与え、就職活動で調べた企業名も含まれていたことで、歴史が過去のものではなく現在ともつながっていることを実感しました。

また、館内には教科書やインターネットには載っていない当時の写真や証言記録といった一次史料が数多く展示されており、紙面だけでは伝わらない歴史の重みを肌で感じました。さらに、過酷な状況を強調するような表現も見られ、歴史の厳しさをより直接的に受け止める機会となりました。

二度目の訪韓で感じたこと

多くの参加者にとって初めての韓国だった2年前とは異なり、気持ちに余裕があり、視野を広く持ちながら過ごすことができました。特に交通面でその違いを強く実感しました。2年生のときは不安で乗れなかったバスを、今回は積極的に利用したことで、移動の幅が広がりました。釜山のバスは3〜10分おきに運行し、専用レーンが整備されているため渋滞時でもスムーズに走行します。

効率よく交通手段を使えたことで移動時間を短縮でき、研修の合間には海に出かけたり、カフェやショッピングを楽しんだりすることもできました。こうした体験も含め、研修全体をより充実させることができました。

最後に

今回の研修を通じて強く感じたのは、国際交流は制度や枠組み以上に、一人ひとりの出会いから始まるということです。小学校で折り紙を一緒に楽しんだり、好きなアイドルの話盛り上がったりする中で、国境や年齢を越えたつながりを実感しました。

実際に交流プログラムでも、領土問題や歴史論争といった政治的にセンシティブな話題は避けるようガイドラインが設けられている

ニュースで耳にする国同士の課題は確かに存在します。しかし、そうした大きな問題があるからこそ、このようなちょっとした交流にこそ意味があるのだと思います。子どもたちや先生方と直接関わり、笑顔や会話を共有できたことは、相互理解を育む大切な一歩になると感じました。

今回だけでなく、この交流が今後も広がっていくことを期待しています。

(武田ゼミ4年 今枝)

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