中央大学経済学部のゼミが研究内容とプレゼンテーション力を競う、毎年恒例のプレゼンテーション大会。11月12日に開催された2022年度の大会において、丸山ゼミ林業班はビジネスB部門で優勝に選ばれました。
その研究内容の概略は以下のとおりです。
丸山ゼミ林業班の研究発表内容
日本の林業の問題点を考えた
日本の林業の現状について林野庁の統計などから分析した結果、年々増えている森林資源量に対して使用量が少ないことが分かった。伐採量は増えているが利用に結びつかず、切ったまま山に放置するなどして環境の荒廃を招いているケースも。
また、稼げる使い方をしていない(稼げる使い方が無い)ことも利用に結びつかない原因であり、高付加価値化された新たな木材需要を創造する必要がある。
6次産業化から一歩進んだ産業融合
日本各地で行われている6次産業化は1次(生産)+2次(加工)+3次(流通・販売)という図式で、それも同じ業界の中で留まることが多い(農業なら農産物の加工→販売・飲食、など)。成功事例はさまざまあるが、それでは他との差別化は図れないと考え、林業班では地域の強みとなる産業、それも異種産業を掛け合わせることを考えた。
先行事例を探し、「林業・木工 ✕ アニメ」などを発見。ここから考察し、成功事例に共通する要素があることが分かった。
遠野市の2つの強み、「林業」と「ビールの里」
遠野は林業が盛んであり、国内でも他に例のない木材工業団地がある。ここには林業・木材産業12事業体の事務所と工場、訓練校に至るまでを併設して川上(伐採)から川下(製材・加工)を一体で行うことで木材の高付加価値化を目指している。
またホップの栽培面積・生産量が日本一であることから近年「ビールの里」としてブランディングを図っている。「林業」と「ホップ・ビール(農業・醸造業)」の掛け合わせは、前項で見つけた成功事例の要件を満たしている。
取り組みが継続することを目指し、目標設定
「森林資源の量に見合う木材利用の促進」という長期目標を見据え、「林業とビールの里の2つの産業の融合」を短期目標とした。演習2(3年次科目)が終わり自分らの手が離れた来年以降も地域に根づいた活動になってほしいと願い、製品コンセプト〜販売実績作りまでをしっかり固めることとした。用意できた数量は少なかったものの販売は好調で、購入者アンケートからもホップの木製グッズは有意義であると結論付けた。
今後の展望として、ビールの里プロジェクト関連のイベントを中心にコースターのクラフト教室を開催し、地域の人々の関心を集めたり繋がりを創出する役割を果たすことを期待する。