多摩キャンパスの自然は最高!環境保全にも力を入れる「生命科学」の黒須先生

中大経済の先生

今回は黒須詩子教授に取材をさせていただきました。経済学部では、「生命科学」の授業をご担当されています。

-専門分野について簡単に教えてください。

昆虫学です。ゴール(虫癭、虫こぶ)を作る社会性アブラムシの分類学や生態学を研究しています。ゴールは、ハチやアリのような社会性昆虫の巣に当たるわけですが、授業では、社会性アブラムシの話もします。

現在は、多摩キャンパスの保全活動に、力を入れています。私は保全の専門家ではありませんが、長期的に考えれば、研究をするうえでとてもプラスになることだと考えています。

-そういった分野に興味を持ったきっかけは何ですか?

私は子供の時から、山歩きや自然を観察することが好きでした。そして、身の周りの植物や昆虫の名前がわからなければ、調べずにはいられなかったのです。

-いつから本格的にアブラムシを専門にしたのですか?

大学院に入ってから、東京に移り、研究できるテーマを探し、ゴール形成アブラムシが専門になりました。
自分の興味の範囲はよくわかっていました。好きじゃないことをやっても気が滅入るだけで、効率が悪いですから(笑)。好きなことをやるようにしています。

-ゼミではどのような活動を行いますか?

専門的な知識を学びながら、一方でビオトープを主体としたキャンパス緑地のメンテナンスを行います。

創立125周年記念事業(2010年)の折に、経済学部は、大学内に湧水を利用したビオトープを2箇所設置しました。特に、移動力に乏しい両生類の繁殖を助ける上で、ビオトープは大きな役割を果たします。

彼らは水場がなければ繁殖ができなくて絶えてしまいます。水場を守ることは、キャンパス全体の生物多様性を守る事にもつながります。

ゼミには、「自然に親しみたい」「これからの時代、環境の保護も大切だ」と考える学生さんが来てくれます。将来公務員になる方は、緑地の保護など、環境に関わる場面が多いので、そういったセンスを磨くことは非常に大事でしょう。

-多摩キャンパスの自然はやはり素晴らしいですか?

このキャンパスは本当に自然度が高くて素晴らしいです。それを私は大事にしなければいけないし、学生さんにもそのことを知ってほしい。
希少種がたくさん生息しています。絶やしてはいけません。キャンパス内の人間、つまり現場の人間が最も関心を持って、努力しなければいけないことです。

-自然を壊さずに、放っておくだけではダメなのですか?

…難しい問題ですね。放っておいて生きるものもありますけれども、少し人の手を加えてあげなければいけないものもあります。今よく謳われている里山環境というのは、自然に人が少しだけ手を入れた結果として多様性が保たれていると考えて良いでしょう。
例えば、林床の下草刈り、つまり笹刈りをすることは、アズマネザサの独占を許さないという効果があります。この努力を続けた結果、可愛らしい草花が増えました。

この大学のキャンパスに生息する希少種も、私が定期的にチェックし、生息状況がどうであるかを調べ、ゼミの活動の際にも、学生さんに保全の対象であることを伝えています。

-学生時代にやっておいた方がいいことは何だと思いますか?

読書。ひたすら読書です。でも、最終的には、読むということ、考えるということは行動に結びつかないと意味がありません。

-どういった思いで授業をされていますか?

学生さんには、自然科学の美しさを知ってもらいたいです。それは私たちの精神を豊かにし、長期的には、生活も豊かにします。将来きっと役に立つはずです。

取材後記

後日多摩キャンパスにて、黒須先生主催のホタル観賞会に参加させていただきました。たくさんのホタルを観察することができ、毎日通っている場所で貴重な非日常を体験させていただきました・・・!

普段、授業を受けているだけではあまり意識しなかったですが、本当に豊かな自然の中で学んでいる事に気づかせていただきました。「自然と共に生活している。」という事に気づくことが、保全の第一歩なのかもしれないと感じました。(写真右|学生記者:鈴木)

※本記事の取材は2019年に行われたものです。

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