「一緒に頑張っていきましょう」。“学生さん”に優しく語る、国際金融の吉見先生インタビュー。

今回、国際金融がご専門の吉見太洋先生に取材させていただきました。専門分野や、学生時代について、また、オフの時間の過ごし方など幅広くお伺いしました。

―ご専門の学問について教えてください。

国際金融は、為替や通貨を含めて、国境を超えた金融的なやり取りを軸に、経済のことを明らかにしていく分野です。

中でも私が最近メインで取り組んでいるのは、決済通貨の研究です。例えば、日本と米国の企業が貿易をするとき、どちらかの通貨でやりとりすることを決めないといけない。この国際貿易取引の際に用いられる通貨を決済通貨と言います。

決済通貨が、どういうときに円になり、ドルになるのか。ドルになると日本の企業はどのような影響を受け、円になるとどのような影響を向こうの企業に与えるのか。それがマクロ経済全体にどういった影響を持つのか、そういったことを研究しています。

―専門分野に興味をもたれたのはいつからですか。

大学の学部生の頃です。私が大学に入学したのが2001年、ユーロが正式に導入されたのが1999年。ユーロってドイツやフランス、イタリアなど、異なる国が1つの通貨を使う。通貨が1つになるとどのようなことが起こるのか、といったことがすごくタイムリーな話題で興味がわき、国際金融を専門とされている先生のゼミに入りました。そこで論文などを読んでいたら面白くて、通貨や為替といった話題への興味を深めていきました。

―国際金融という学問の魅力はどんなところですか。

現代は国際価値連鎖も深まり、国同士が深くつながっている時代ですので、国際的な視点を抜きに経済を理解することは難しい。また、為替や通貨の世界は常にダイナミックに動いていますので、それを追いかける楽しさもあります。

例えば、BitcoinやLibraといった暗号資産が、通貨の世界にどのような影響を与えるのかといったテーマは、国際金融分野のタイムリーな話題の一つです。学生さんの視点から言うと、海外とのやりとりを意識する機会が自ずと増えるというところも面白さの一つだと思います。

勉強していて自然に海外とのやりとりが視野に入ってくるというのは、特に将来国際的に活躍したいと考えている学生さんには有益かつ面白い点ではないでしょうか。

―学生時代はどのような学生でしたか。

勉強はすごく好きでした。ただ、いっぱい遊んでもいたし、学園祭の実行委員をしたり、音楽も好きでジャズ研に入ったりもしていました。成績は悪くなかったですが、すごく良い訳でもなかったと思います。

今の学生さん達を見ていてえらいなと思うのは、必修何単位取ったらとか、戦略的にやるじゃないですか。私はそういう発想が当時一切なくて、授業の表を見て面白そうな経済関連の授業を取っていたら、結果的に卒業要件を満たしてなんとかなったという感じでした。まったく戦略的ではなかったし、好きな授業が多い経済の学部でなかったら確実に留年していたと思います。

―大学教員という職に就かれた経緯を教えてください。

学問を職業にしているってかっこいいな、という漠然とした憧れは昔からありましたが、具体的に考え始めたのは卒論を書いている時です。卒論の研究がとても楽しかったので、これが職業になったら幸せだなと思ってゼミの先生に相談したところ、「やめておけ」と(笑)

今もそうですが、当時は特に大学院生の就職事情が厳しい時期で。当時のゼミの先生は親心を持って言ってくださったのですが、やはり私はそのときも戦略的ではなく、「そうなんですか」と他人事のように、興味のままに大学院に進んだという感じでした。ただ当時そう言って頂いたおかげで、これは本気でやらなければと覚悟が決まったところはありました。

―現在、担当されているゼミについて教えてください。

私のゼミでは学生の興味を聞きながら学年によってやることを変えています。酪農の研究、幸福度・社会福祉の研究、マイナス金利政策の研究、為替レートの研究など様々です。

ただ、決まったテーマに関連する場所に現地調査に行くというのは決め事みたいにしていて、北海道の酪農場の見学に行ったり、デンマークのコペンハーゲンへ行き国連の機関を見学したりもしました。基本的には学年ごとにテーマを考えながら、学生さんと一緒に勉強・研究を進めています。

—どんなゼミにしたいですか。

理想としては、私が何もやらなくても、準備をしなくても、みんながちゃんとやっている。これが理想。1つは、手間がかからないから私が楽ということと(笑)、あとはゼミってそういうものでしょと思うので。だから、なるべく裏方にまわりたいと思っています。

あとは、やっぱり、よく学び、よく遊びが大切なんじゃないですか。部活やサークルも良いですが、ゼミも大学における大事なコミュニティの一つだと考えています。特に、スポーツや趣味ではなく、勉強面の趣向で集まるコミュニティというのは他にあまりない貴重なものです。
私も大学当時のゼミの友人と今も付き合いがありますし、久々に会って話を聞いて、学ぶことや刺激を受けることも多いので、そういう意味でも長く続いていく関係になると嬉しいなと思っていますね。

―オフの時間は何をされていますか。

漫画はよく読みますね。お笑いを見たり、音楽を聴いたり、よく家族や友達とごはんに行ったり飲みに行ったりもします。あとは、猫が好きなのですが自分の家では飼っていないので、どうしても我慢できなくなったときには猫のいる実家に寄って、思い切り猫と遊んで帰るという癒され活動もしています。

―最近熱中していることはありますか。

期待して頂いている答えではないかも知れないのですが、最近は仕事がますます面白くなっています。私は国際金融を軸に研究しているのですが、最近は国際貿易や農業経済など、これまで取り組んでこなかった新しい分野にチャレンジしたり、そういった分野と国際金融の接点を見つけたり、研究の幅を広げるような取り組みをしています。

また、経済学の研究も最近はビッグデータの影響を大きく受けているので、データからこれまでの理論で言われていないことが見えたり、これまでは検証できなかった理論仮説をデータで検証できたり。最近はこうした取り組みを自分でも進めていて、以前よりますます研究が楽しく、熱中できているような実感があります。

―中大の良いところはどこだと思いますか。

まずこの広々とした多摩のキャンパスは学生さんにとっては良いですね。また、中大は人数が多いというのも良いですね。社会人になったとき、同じ大学出身だと共感したり共有したりできることも多くて、そこでまた人のつながりや仕事のアイディア、機会が生まれたりするので、同じ大学の出身者が社会に多いというのは大きな力だと思います。
ぜひ卒業生の皆さんには中大の学生をかわいがってもらい、色々な機会を与えて頂けたらありがたいと思っています。

―学生に一言お願いします。

あまり偉そうに言えることはないのですが、何事も前向きに頑張っていきましょうねということですかね。
あとは、大学は先生と学生が高校までに比べてフラットな場で、我々も学生さんから学ぶ機会も多い。我々教員も学生さんに対して、恥ずかしくないように研究活動と教育を頑張っていくつもりでいるので、一緒に頑張っていきましょうというのが素直な気持ちです。

とはいえもちろん先生方は学生さんよりも多くのことを知っているケースも多いので、先生方をたくさん利用して勉強も研究も進めて、成長していく場として大学を利用してくれたら良いんじゃないかなと思います。

取材後記

親しみやすい言葉でお話してくださり、初めての一人取材の緊張も和らぎました。本文の内容以外にも、好きな少年漫画のお話や、良いと思う中大学食がざるそばであることなど様々なことをお話ししてくださり、とても楽しく取材させていただきました。
また、「学生さん」という言い方からも、学生のことを一人の人として対等に認めてくださっている先生だなと感じました。(写真左|学生記者:広瀬)

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