「経済ってなんだろう?」に、『高校生からの経済入門』

中央大学 経済学部の先生たちが高校生に向けて書いた、優しい経済の本です。

みなさんは中国の古典に登場する「経世済民(けいせいさいみん)」という四字熟語を知っていますか。経は治める、世は世の中、済は救う、民は人民をそれぞれ意味しますから、経世済民は「世の中を経(おさ)め、民を済(すく)う」ということになります。経済の語源はこの経世済民にあります。したがって経済学は「世の中をどんどん良くして、人々を幸せにしていく学問」であると言えます。

本書「はじめに ― 1.「経済」の語源」より

お小遣いから国の予算、はては地球環境問題まで、幅広いテーマを中央大学経済学部の教員が語ります。
経済って、お金のことだけじゃない。わたしたちの日々の暮らしが、社会が、どのような仕組みの上に成り立っているのかを考える学問です。経済がわかれば、新聞、ニュースもこわくない。

どうして大学へ行くの? そのスマホ、メイドイン何? といった身近で素朴な疑問から出発して、経済学の学びへ誘(いざな)います。知れば知るほど、そこには正解のない問題がいっぱい。

―経済を知りたい、すべての人へ。

各章の紹介

この本は、中央大学経済学部の先生たちが、1章ずつ分担して書いています。

※先生の名前から、各先生のゼミゼミとは … 「ゼミナール」の略で、少人数による「演習」形式で行われる大学の授業科目の1つ。一対多数になる大きな教室での「講義」と違い、少人数で行うので、積極的に先生と関わるチャンス!紹介のページに飛びます。

はじめに

  1. 「経済」の語源
  2. 中央大学経済学部の理念
  3. 本書の狙い

書いたのは… 篠原 正博 先生

第1章 どうして大学へ行くの?――大学進学のコスト・ベネフィット

  1. どうして大学に行くの?
  2. 人々の意志決定
  3. 進学のコスト
  4. 進学のベネフィット
  5. なぜ進学率は高まったのか

この章を書いたのは… 阿部 正浩 先生

第2章 それでもあなたは子どもをもちますか?――日本の少子化

  1. 子どもが少なくなるとどうなるの
  2. 子どもを持つことの経済学的な意味
  3. 子どもが生まれたら良いこと
  4. 子どもが生まれたら負担しなければならないこと
  5. 経済的に考えた、子どもを持つということ
  6. どうすれば子どもをもつ人が増えるのでしょうか

この章を書いたのは… 和田 光平 先生

第3章 女子が「働く」って「ツラい」こと?――現代日本の労働環境

  1. はじめに―日本の女性の働き方について考えてみましょう
  2. どうして「就活」するの?
  3. 日本で働く女性の現状はどうなっているの?
  4. これまでの「働き方」の中で、働く女性は「活躍」できる?
  5. 「家庭内ワーク・ライフ・バランス」が女性の働き方に与える影響
  6. この国で働くすべての人が安心して働き続けるために

この章を書いたのは… 鬼丸 朋子 先生

第4章 お金って何だろう?――貨幣と金融

  1. もしもお金がなかったら?
  2. 価値のない紙のお金がなぜ使えるの?
  3. 紙のお金じゃないお金⁉
  4. お金を増やせば景気も良くなる?

この章を書いたのは… 佐藤 拓也 先生

第5章 えっ? 高校生って国の借金払ってるの?――財政赤字と民主主義

  1. あなたは、すでに多額の借金を背負っている!
  2. そもそも、なぜ借金していいの?
  3. 高校生が借金を背負うことの本当の問題点はこれだ!
  4. どうやって借金に立ち向かう?

この章を書いたのは… 武田 勝 先生

第6章 経済ってどうやって測るの?――GDPと物価

  1. モノは安ければ安い方が良いよね?
  2. モノの値段の動きを指数で捉える
  3. モノの値段の変動と国の経済との関係
  4. おわりに―経済を測ることの必要性

この章を書いたのは… 伊藤 伸介 先生

第7章 食料は自給しなければならないの?――食料自給率と日本農業

  1. 和食は国産の食材でつくられている?
  2. いろんな食料自給率とその動き
  3. 食料自給率が低下した理由を考えよう
  4. 食料自給率は上げた方がよいの?
  5. 食料自給率の向上に必要なこと

この章を書いたのは… 江川 章 先生

第8章 そのスマホ、メイドイン何?――自由貿易の利益

  1. 身の回りのモノはどこから来ているの?
  2. そもそも貿易ってなんだろう?
  3. 貿易にはどんな種類があるの?
  4. なぜ貿易を制限するといけないのか?
  5. なぜ不公正な貿易が経済にとって望ましくないのか?

この章を書いたのは… 小森谷 徳純 先生

第9章 爆買いから見える日系企業の成功とは?――日中経済のかかわり

  1. なぜ中国人観光客が急増しているの?
  2. なぜ中国は「世界の工場」と呼ばれたの?
  3. 中国は「世界の市場」になれる?

この章を書いたのは… 唐 成 先生

第10章 課題山積みの日本が、途上国に協力する必要ってあるの?――途上国の貧困と環境問題

  1. 課題先進国の日本が途上国を助けている場合なの?
  2. 途上国の子どもはなぜ学校に行かずに働くの?
  3. 途上国ではなぜ環境問題が起きているの?
  4. 依存しているのは途上国? それとも日本?

この章を書いたのは… 佐々木 創 先生

おわりに

  1. 各章の要約
  2. 経済学の学び

書いたのは… 篠原 正博 先生

書籍情報

「高校生からの経済入門」

著者:中央大学経済学部
定価:¥ 990 (税込み)
ISBN-13:978-4805727102
2017年08月10日初版発行
※2017年09年01日 1刷正誤表

「受験勉強なんか、何の役に立つの?」

そんなふうに思っている高校生は多いかもしれません。でも、高校で学んだこと、受験勉強で培った知識は、大学に入った後に、大切な基礎となる部分です。こうしたベースとなる知識の上に、その意味が与えられていくのが大学の授業。知らなければ、本当のおもしろさ、深い疑問に到達することはできません。

わかるからこそ、面白い! この本が、その入り口となりますように。

本書 帯書きより
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