農村開発のスペシャリストになるため、貪欲に”機会”を探し、最大限活用した4年間。

奨学金受給者レポート

私は卒業後の進路として、欧州の大学院へ進学することを検討しており、第一志望は、ベルギーにある Ghent University(ゲント大学)The International Master of Science in Rural Developmentという農村開発を研究する修士課程で、現在(2021年11月)出願の準備を進めています。進学を実現するだけでなく、進学先で充実した生活を送るために必要な能力を培うことを4年次の目標とし、活動しました。必要な能力というのは具体的には、語学力(特に英語)、専門性(実証分析, 経済学, 農村開発)、コミュニケーション能力(リーダーシップ, 協調性)です。

インターンシップや卒業論文の執筆、文学部のGSPクラスの受講を課内活動として行い、語学学習や TOPPA 4U(後に詳述)を課外活動として行いました。中央大学経済学部で提供される教育機会を活用すると同時に、他学部や中大の外のコミュニティを活用したことで、4年次は視野を広げる機会を多く作ることができました。


活動内容について:語学学習

(1) 英語:

進学先で英語による議論や発表があり、高い英語力が必須であるため、貪欲に英語力を伸ばすことを心がけました。ネイティブの先生・友達からのフィードバックや自己分析を踏まえて、英語の発音(音のピッチ, 子音や母音の正確な発音, リズムなど)を課題として設定し、「Pronunciation with Emma」というYouTubeチャンネルから発音専門の個人レッスンを申し込みました。4月から9月までオンラインで発音レッスンを続け、それと並行して ATSU さんの 「Distinction」という単語帳でイディオム表現を学習。その結果、IELTS ※1のスコアが 6.5 から 7.0 (技能別:Listening 7.0, Reading 8.5, Writing 6.0, Speaking 6.0)に向上しました。

※1. IELTS(アイエルツ) = International English Language Testing System。英語熟練度を測る英語検定の1つで、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationによって協同で運営されている。(Wikipediaより)

(2) スペイン語:

国際機関で働く上で、英語以外の言語を運用する能力は不可欠であることに加え、留学先大学におけるフィールドワークでスペイン語を使う可能性を考慮し、第二外国語であるスペイン語の学習を意欲的に継続しました。中央大学の授業で扱うレベルを超える文法事項を学習したいと感じていたため、知人を通じて個人レッスンを申し込み、マドリッドと日本をZoomでつなぎ、授業を受けました。5月から11月まで継続した結果、DELE試験(スペイン語の試験の1つ)の B2 レベル(日常生活にやっと困らなくなるレベル)の文法を、大方学習し終えることができました。

活動内容について: 研究

(1) 卒業論文:

私が所属するゼミは実証分析を中心に扱う宮錦ゼミで、宮錦先生の指導のもと卒業論文の執筆を進めています。テーマは「日本における世界農業遺産(Globally Important Agricultural Heritage Systems, GIAHS(ジアス))の現在地」で、国際機関FAO※2の GIAHS 認定制度を日本に限定して評価することを目的としています。
実証論文を書くつもりで問題意識を掘り下げていましたが、GIAHS認定地域の比較対象として必要な「GIAHS 制度に申請したが通らなかった地域」を厳密に知ることが難しいことに加え、認定制度が日本で開始されたのが 2011年でデータの集積が進んでいないことから、サーベイ論文に近いものになりそうです。卒業論文の執筆を通して、農村開発のグローバルなアプローチの1つである GIAHS 制度を深く理解できた一方で、仮説を立てる思考力の重要性や実証分析の難しさを痛感し、修士課程へのモチベーションが高まりました。

※2. FAO ・・・ Food and Agriculture Organization of the United Nations=国連食糧農業機関

(2) 文学部開講, Global Sociology Program:

修士課程での研究に向けて、演習Ⅰ, Ⅱ, Ⅲで計量的な分析を行うと同時に、インタビューなどによる質的調査も経験しておきたいという思いがあり、そのような機会を中央大学で探したところ、4年次の履修登録を検討する時期に Global Sociology Program(=GSP)※3のことを知りました。GSP は文学部で開講され、受講生は社会学的な課題を研究テーマとして持ち、グループでフィールド調査を行います。
私のチームでは「ベトナム人技能実習生の失踪」をテーマとして扱い、NPO法人や弁護士、教会などを訪ねてインタビュー調査を進めました。統計ソフトを用いて行う計量的な研究とは異なる難しさや面白さを経験することができ、アポ取りやメールの仕方なども含め、インタビュー調査の基本を身につけることができました。

※3.GSP・・・ グローバル・ソシオロジー・プログラム  ―国際社会に対する問題意識を常に持ち、国境を跨いで活躍できる人材を育成― 中央大学 プレスリリース 2017年04月12日

活動内容について: インターンシップ

(1) TOPPA 4U:

1~3年次でグループワークを主体とする授業に幾つか参加したことで、4年次で「仲間と共同する力」をもっと高めたいと感じました。そうした機会を探したところ、中央大学ボランティアセンターを通じて TOPPA 4U というプログラムを知りました。TOPPA 4U というのは、達成目標を「参加者に自分なりのグローバルリーダー像を見つけてもらい、それを実現してもらうこと」とする、リーダーシップに焦点を当てたプログラムです。
具体的な活動は、リーダーシップやプレゼン、ビジネスに関する講義を受けながら、1班5人のチームで企業が実際に直面する課題に取り組むというもので、4月から6月にかけてチームで活動しました。そして、「リーダーシップは誰しもが持っており、その具体的な特徴は人それぞれである」と考える Shared Leadership(シェアド・リーダーシップ)という考え方に出会い、とても共感しました。現在参加しているグループワークでは、その学びを踏まえて、メンバーの得意なことを考慮して自分の振る舞いを工夫したり、互いの良い点・改善点をフィードバックすることをチームに提案したりすることができています。

(2) 中大経済学部開講, インターンシップ「地域創生コース」:

3年次の初めに修士課程へ進学すると決めたものの、心の何処かで「就活・就職をしない理由を、無意識に進学に求めているのかもしれない…」と感じており、企業でのインターンシップを通して「働くこと」を具体的にイメージすることが、「なぜ就職せずに進学するのか」を深く考える上で必要なことだと思いました。また、修士過程で農村開発を研究するため、地方で企業がどのように地域に貢献しているのかを知ることで、研究の実用性を強く意識できると考えました。こうした経緯のもと、職業体験の機会を探し、中央大学経済学部で開講されるインターンシップコースへの参加を決めました。

インターン先は岩手県・紫波町にある「紫波フルーツパーク」で、1週間就業しました。そこではワインの製造・販売に加え、原料であるぶどうの生産、農業体験の提供などを行っています。多岐にわたる事業内容の中から、私は葡萄畑の農作業やワインの瓶詰め、樽の洗浄などを実際に経験しました。

1日の作業を終えると反省会議が欠かさず行われ、そこで出た改善点をもとに対策を考え、既存のマニュアルが変更されていました。私はワイン製造に関する専門知識がないため会議を聞いているだけでしたが、反省会議の様子を観察した結果、働く上で大切なことの1つは「試行錯誤」なのではないかと考えるようになり、「働くこと」を以前より具体的にイメージできるようになりました。
加えて、作業をしながら「紫波フルーツパークが紫波町にどのように貢献しているか」を企業の方に伺った結果、民間企業(正確には紫波フルーツパークは第三セクター)による地域開発について理解が深まり、修士課程の研究に向けて視野を広げることができました。


おわりに

人間的な成長

多角的に計画を立てそれを実行に移すことで、語学力や専門性、コミュニケーション能力を向上させることができました。その過程で、「目標に向かい試行錯誤することで、人間的な成長が促されるのではないか」と考えるようになりました。
例えば、英語力に関して言えば、英語が勉強の対象でしかないときは、「英語ができるようになることが成長だ」と無意識に考えていました。しかし、英語で自分を正確に表現できるようになると、日本語や英語は自分を表現する手段に過ぎないと気づいたのです。
それ以来、言語で表現される「態度や価値観、人間性」を意識的に磨くことが、人間的に成長する上で大切なことの1つだと考えるようになり、自身の人間性を磨くことを意識することが日常生活で増えました。これは言語学習で試行錯誤した結果生じたものですが、研究やインターンシップでも、人間的な成長に繋がる気づきを得ることができ、とても充実した4年次になったと思います。

今後の目標

私は音楽を聴くとき YouTube Music を利用していますが、ある日「年齢の森」という広告が流れ、内容が面白くつい聴き入ってしまったことがありました。そこで流れた内容の1つが「歳をとることについてどう思うか」という議論でした。
私は歳をとるということは「単に、産まれてからの時間が増え、残された時間が減ること(=年齢がなにかするわけではない)」だと思います。というのは、どのようなことを考えどのような行動を起こすかは年齢に限らず自由であるという考えが好きだからです。また、ルーズな自分に対する自戒を含んでもいます。

今後、短期的には4年次で培った語学力・専門的知識・人間性を最大限活用し、出願を検討している大学院に対して自分をアピールしていきます。長期的には、修士課程で身につく能力を活かして、国際NGOやFAOへの就職を目指します。

今年23歳になりますが、これからもあれこれ考えながら楽しく生きていきたいと思います。


これから出願を考えている学生へのメッセージ

奨学金は、素朴に言えば「◯◯円の経済的支援」です。しかし、金額には直接表れない関係者、出資者や審査員の気持ちが存在することを踏まえれば、共感や応援の気持ちが目に見える形になったものだと言うことができるでしょう。そして、その気持ちを受け取るためには、自分のやりたいことを一方的に表明するのではなく、「なぜ大学は自分に奨学金を与える必要があるのか」を自問自答する必要があると思います。

これは、奨学金を応募する上で私が大切にした態度ですが、みなさんはどのような態度を大切にしたいと思いますか。将来の目標は人により千差万別であることを考えれば、共感や応援の気持ちを引き出すのは、目標それ自体ではなく、目標が生まれた過程やそれに対する思いではないでしょうか。

私は中央大学経済学部から「経済学部創立百周年記念奨学金」を通してご支援頂いたことで、活動計画を実現することができ、学部4年次を最大限活用することができました。感謝の意を込めて学習成果を報告するとともに、自身の活動や思いが、奨学金の出願を検討している学生の背中を押せることを願っています。

  • 山岸 寛
  • 経済学科 2021年度卒
  • 西武学園文理高等学校(埼玉県所沢市)
  • 学科を選んだきっかけ世界的に見てなぜ食料が特定の地域に偏在しているのかに漠然と興味があり、それを「国際貿易」や「経済」の視点から学びたいと思ったから。
  • ゼミ・専攻分野など宮錦ゼミ・農村開発、計量経済学
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