林業の振興を目指す丸山ゼミが、一次産業を掛け合わせました。

ゼミ活動

経済学部 丸山ゼミでは岩手県遠野市、紫波町において地域資源を用いた活性化のビジネスプランの具体化を行っています。その中でも林業班は岩手県遠野市の林業の振興について研究しています。林業の認知度の向上と、木材の新たな需要創出の足掛かりとして、地元産材でのグッズ作成を企画提案。できあがったコースターを2022年10月の遠野市産業祭りで販売し、その活動は地元ケーブルテレビにも取り上げられました。

地元特産品の「ホップ」をデザイン

2年次の10月にゼミの中で林業班が立ち上がると、さまざまな木工品のアイデアを出し合いました。遠野市はビールの原料である「ホップ」の産地として、日本一。これを活かして今、「ホップの里から、ビールの里」へと、地域のブランディングを図っています。

遠野市のホップ 写真出典:JA花巻

ここに目を付けたメンバーは、地元の木材を使ったビールジョッキを作ってはどうかと考えました。しかしながら調べるうちに、加工の難易度や食品衛生法のクリアなど、難しい部分が浮かび上がりました。

3月になり、丸山ゼミの春合宿で遠野市を訪れたメンバーは、林業の現場へ。重機を用いて山から木を伐りだしていく様子を間近で見学しました。またこの合宿中に、「遠野市ビールの里構想」を掲げる会社Brew Goodさんに出会います。そこで「ホップのグッズが無い」という話を聞いたことから、ホップをデザインしたコースターを作ってはどうかというアイデアにたどり着きました。
「伝統的な林業とホップの里・ビールの里構想。どちらも遠野の強みなのに、繋がりがないなと感じた」「その二つを繋ぐことができたらより良い街づくりになるのではないかと思った」班のメンバーはこのアイデアについて、あとでそのように振り返りました。

地元工房に制作依頼し、産業祭りで販売

ホップはアサ科の蔓性植物で、雌株に生じるころころとした可愛らしい毬花がビールの原料となります。この毬花をあしらったコースターを作るために、ゼミの先輩と繋がりがあった工房「ノッチ・アート遠野」さんと連絡を取りました。 オンラインミーティングでデザインのやり取りを重ね、地元の木材をノッチ・アートさんが丁寧に加工。単一材のスジ彫りでホップを表現したものと、ホップの花びらを別の材で象嵌細工としたものの、2種類ができあがりました。

コースターは8月に開催される「ホップ収穫祭」で販売する予定でしたが、残念ながらコロナの第7波の影響で中止となってしまいました。

10月には遠野市の産業祭りが開催。ここで出店したところ、珍しいデザインのアイテムだけに、ビール愛好家を中心に良い反応がありました。 象嵌細工のものが1500円、すじ彫りのものが800円。コースターとしてみると安くはない価格でありながら、それぞれ16個、14個と、用意した分をすべて完売することができました。

遠野市の産業祭りに出店し、遠野TVにも取材していただいた。

木育に繋げ、林業の認知度を高める

今回販売のものは原価ギリギリの値付けということで、採算が合うものにするには大量販売をするか、価格を上げるかとなってしまいます。ノッチ・アートさんだけでは大量生産は難しく再販の目途は立っていませんが、メンバーはここまでの開発に一定の手ごたえを感じました。

メンバーは今後の活動として「遠野の産業祭りでは子どもの体験会などの企画が人気でした。そこから着想を得て、中止となってしまった『ホップ収穫祭』で子どもが楽しめる場を設けたいと考えています」と話します。ホップ収穫祭にまだ子ども向けのイベントが足りていない中、象嵌細工はその体験会にピッタリだ、とのこと。林業班の嘉味田さんは「子どもへの木育を通して、林業への認知を高めるという目的に一役買えそうだ」と語ってくれました。今後、木材需要となるかなども含めて妥当性を検証していくということです。

丸山ゼミ 林業班のみなさん

経済学部プレゼンテーション大会(2022年度)で優勝!

コースター制作・販売といった一連の活動とバックグラウンドの研究内容をまとめ、中央大学経済学部で毎年恒例のプレゼンテーション大会で発表。結果、出場した「ビジネスB部門」にて見事優勝に輝きました。

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