【ゼミ紹介】西洋経済史に、変わったアプローチで取り組む柴田ゼミ

ゼミ紹介

柴田ゼミが扱う主な研究テーマは、西洋経済史です。今回は2年生ゼミ(演習1)にお邪魔して、その活動内容を伺ってきました。

まずは輪読から

2年生ゼミの活動は、主に課題図書の輪読です。
輪読とは一冊の本を複数人で足並みを揃えて読むというものです。章ごとに分担するなどし、各々が自分の担当する章を読んで要約・全員にプレゼンテーションする、といったことを繰り返しながら読み進めていきます。発表をすることで章の内容をしっかりと理解でき、また発表する側/聞く側のどちらの立場でも、本の同じ箇所について他の人がどのように考えたかを知ることになるため、よりその本についての理解が深まるのです。

輪読のイメージ

プレゼンに対しては柴田先生からコメントやアドバイスがあり、さらに理解を深めていくことができます。先生がとても優しく、真剣に取り組む学生が多い印象です。ゼミの雰囲気はほどよい緊張感で行われていました。グループワークは少なく、個人での作業とプレゼンが活動の基本です。

読み進めている本

一冊読み終えると、内容のまとめをして次の輪読へと進みます。輪読をする本は、演習1(2年次)の前期では、コミュニケーションの謎に迫った『あいまいな会話はなぜ成立するのか』という本と脳科学を駆使して意識の謎を解き明かす『あなたの脳のはなし』という二冊でした。

柴田ゼミ(2年生)が輪読に取り組む二冊の本

『あいまいな会話はなぜ成立するのか』は、「日常会話が遠回しな表現で溢れているにも関わらず、聞き手は話し手の意図を直ちに理解することができる」理由について哲学・言語学・心理学の理論を用いて、現代の脳科学に基づく成果を紹介しています。
この本では、日常会話で相手に伝えたいことの一部しか言葉にしていなくても話し手の意図が遠回しでも伝わるのは、私たちに相手の意図を推測する力が備わっているからだと結論づけていました。これは、私たちが話し手の意図を理解するときに、文脈と呼ばれる前後関係やその場の状況を手掛かりにすることで可能になっています。
相手に遠回しに自分の意図を伝える方法として、ゼミで配られた資料で取り上げられている例では、「今日は暑かったから喉が渇くね」という言葉には、「ビールでも飲みに行きたいな」という話し手の意図が含まれていること可能性があると指摘しています。このような日常会話におけるストラテジーを理解することで、あいまいな会話でも相手の意図していることがわかるようになり、人間関係に生かすことができます。

「あいまいな会話はなぜ成立するのか」の章を要約したパワーポイント

二冊目の『あなたの脳のはなし』は、脳や意識の謎について分析・議論をしています。だれもが関心をもっているが、沢山の誤解が存在していることを問題視したうえで、心と意識の謎を解明していくという内容です。

西洋経済史と脳科学

しかし、経済史を研究するゼミであるにもかかわらず、なぜ脳科学にかかわる本を輪読するのかという疑問があります。その理由の一つとして、何が歴史を動かしている力なのかを知ることが大事だからというのが柴田ゼミの考えでした。意識が人間の主体ではないことを実感し、人間が世界と相互作用をしているのはどういう水準においてであるかを明らかにするために脳科学や語用論を勉強しているのだといいます。

このように、柴田ゼミは経済史のゼミでありながら、脳科学や語用論など一風変わった方面からのアプローチで理解を深めています。

(取材と文|経済学部ゼミナール連合会 加藤 風香)

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