討論、反論、言い返すにこだわりたい佐藤拓也教授の中大生時代~現在。

経済学部の「人」

今回は、マルクス経済学がご専門の佐藤拓也先生にインタビューさせていただきました。佐藤先生はご自身も中央大学経済学部出身。主な研究分野や、中央大学のいいところなどについてお話を伺いました。

―ご専門の学問領域について教えてください。

分野の広いマルクス経済学ですが、現代の資本主義がどうなっているのかということを中心に研究しています。現在、長期的に景気が悪いですが、どうしてそういうことが起きているのか、マルクス経済学からみるとどうなるか、といったことを考えます。

例えば、景気は悪いが企業の利益は良いということ。普通は、企業の利益が良いと景気が良い、あるいは利益が悪いから景気が悪いと思いますよね。でも、景気が悪いからこそ利益が高いといった不思議なことが起きている。それがなぜ起きているのか、どういう影響をもたらすのか、などといったことの仕組みを、理論と統計で研究しています。

―その分野に興味を持ったきっかけは何ですか。

元々は大学院生のときに、サービス経済論といって、サービス産業が経済全体にどういう影響を与えるのかといったことを勉強していて、それをもう少し一般化して考えようと思ったのが今から10年くらい前ですかね。そこからマルクス経済学による現代資本主義研究をやり始めました。

―マルクス経済学の面白い点は何ですか。

マルクス経済学は主流派経済学(マクロ経済学、ミクロ経済学)ではないですよね。だから、第2、もしくは第3の理論といいますか、主流派とは違った見方で世の中のことがわかるというのがマルクス経済学の魅力だと思います。
景気が悪いというのも、利益が低いからと考えるのではなく、実は利益が高いからこそ景気が悪いと考える、といった、あまり(一般的には)言われていないようなことに気づくことができる点が魅力ではないかなと思います。

―どんな学生時代を過ごしていましたか。

すごく多忙で、いろいろなことをやっていましたね。ゼミにはかなり力を入れていてゼミ長もやっていましたし、授業も全て出るようにしていました。一番力を入れていたのはオーケストラ(部活)ですね。音楽研究会という部活で、当時は全体で500人くらいいて、そのうちオーケストラの部門には160人くらいいました。

あとはアルバイトをやったりして、手帳はほぼ埋まっているといった感じでした。アルバイトも工場、イベント、コールセンターなど色々なものを経験しました。大学院生になってからは塾講師をやっていました。

当時やっていたアルバイトを数える

―ゼミではどんなことを勉強していましたか。

多国籍企業論やEC(現在のEU)についてです。テーマというよりは、一年生のときに受けたマルクス経済学の授業がすごく面白くて、当時から勉強したいと思っていたので、マルクス経済学の先生のゼミに入ろうということで選びました。

先生が学生時代に買った本

―現在担当されているゼミについて教えてください。

メインは3年生で、インナー大会やインター大会に必ず出て、他大学との討論会をやっています。討論ができるようになる、話せるようになることが毎年のテーマです。内容は自由で、今は4つの班に分かれて教育、労働、AI、地域経済をやっています。

―プレゼンよりもディスカッションに力を入れているのですか。

そうですね。プレゼンは一方的ですし、(学内プレゼン大会では)コメンテーターも先生で、それに反論するのは難しいですよね。
討論だと同じ大学生からの反論なので、さらにもう一回反論ができ、その時に頭が良くなると思っています。言い返すというのが一番大事なので。

準備まではプレゼンと同じですが、ディスカッションするときにどうやって言い返すか。知識もないといけないし、論理的な考え方がないといけないし、相手の意見もきちんと聞かないといけないので、鍛えられると思います。

喋るのが苦手で入ってきた人でも、最後には何となく話せるようになっています。今、(就活において)選考でグループディスカッションをやる企業が多いですが、就活が終わった4年生にどうだったかと聞くと、「大したことない」と言っていますね。

―趣味について教えてください。

クラシック音楽を聴いています。オーケストラをたまに聴きに行ったりもします。最近は少し運動をするようになって、「ネオホッケー」という体育館でやるホッケーのような競技もやっています。
カナダに2年間在外研究に行ってから少し考えが変わったのですが、向こうの人は土日は基本働かないし、夜も帰るのが早いんです。長時間働くよりは短時間の方がいいのではと思うようになり、仕事以外のこともやるようにしています。

―中大の好きなところはどんなところですか。

大学として自由なところじゃないかな。締めつけが多い大学もあるので。学生も比較的自由にやれている気がします。そこが一番中大らしいところですかね。昔に比べるとキャリア教育など、追われている感じはしますが、それでもまだ大学生らしいところが残っているのがいいところかなと。あまり計画的にきちっとやりすぎるのは大学生ではもったいないと思いますね。

単純だけど、外で座ってごはんを食べたりするのも結構いいことなんじゃないかなと思います。キャンパスの雰囲気なども含めてあまり縛られることなく自由に過ごしているのが中大のいいところだと思います。

―中大生へメッセージをお願いします。

せっかく大学生なんだから、あまり先読みしすぎないで、今やりたいことをやったらいいと思います。自分のやりたいことを見つけて、それをのびのびとやったらいいんじゃないかな。なんでもかんでもスケジュール通りにやるというのは、「自分で何かをやっている」という感じがしないし、もったいない気がします。「ゼミ一本」などでもいいから、何かひとつ真剣にやっておけば、力はついていくはずです。

取材後記

学生時代のことやプライベートのことなど、様々なお話をしていただき、とても楽しく取材させていただきました。「授業に来てくれた学生には、みんなにわかってもらいたい」ということもお話されていて、中大には学生の成長を大切にしてくれる先生が、本当にたくさんいらっしゃると改めて思いました。(写真右|学生記者:原田)

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