~軸を持つこと~ 伊藤忠商事で働く中大経済の先輩 から就活アドバイス

学生と卒業生

唐成ゼミに所属の2・3年生です。
就職人気ランキング1位の伊藤忠商事で働き、現在中国・上海に赴任している経済学部卒業生の宮下康治さんにお話を伺いました。

唐成ゼミでは日中経済の関わりについて学んでおり、中国経済の実態および日系企業の中国市場戦略を研究するため、毎年上海にて調査活動を実施してきました。今年度は新型コロナウイルスの影響により現地を訪問することは叶いませんでしたが、オンラインにて貴重なお話を聞くことができましたので、その内容をレポートします。

大学生活について

宮下さんの学生生活について教えてください。

私は1994年に皆さんと同じ中央大学経済学部を卒業しました。オンラインでできることもあるとは思いますが、やはり大学は授業を受けるだけではなく、クラブ活動等で人と交流したり、友人と遊んだりすること含めて一つの大学生活だと思います。
また、私自身大学生の頃は、休みがあると海外に行っていました。そのため、今のようにコロナの影響を受けた状況はイレギュラーで気の毒なことだと思います。

しかし、逆にこのように世界的に遮断されるというのはなかなかないことなので、こういう経験を覚えておき、整理しておくことが重要だと思います。もしかしたら30年後とかになるかもしれませんが、今後皆さんの経験に活かすことができると思います。忘れた時にこういうことはまたやってくるものです。

就職活動について

私たちは今後就職活動を控えているのですが、宮下さんがいま就活生だったら、どんな会社を選びますか?

ベンチャー企業に入ってみたいですね。最近ではベンチャー企業といっても様々な事業を行う会社があります。大企業は教育制度が整っていることもいいところなので、新卒で大手に入社して経験を積んでからベンチャー企業に転職するのも良いと思います。

また、就活時代に業績が良かった会社が持続していくとは限りません。だからこそ自分が何をしたいのか、自分とはどんな人間なのかを知った上で軸を持って会社を選ぶことが大切だと思います。

宮下さんが伊藤忠商事への就職を選んだのはなぜですか?

もともと海外志向が強く、商売に興味があったからです。大学入学までにアメリカと中国に行き、海外と関わる仕事に興味を持っていました。

当初は大企業になるとやりたいことができなくなるというイメージがあったことと、売るものが分かっている専門商社が良いという思いも持っていたため、鉄鋼や食品の中堅専門商社に行っていました。

しかしあるときに友人の誘いもあって総合商社の説明も聞いてみたところ、案外面白そうだなと感じました。それで最終的に内定をいただいた伊藤忠商事に決定しました。

中国赴任について

なぜ中国出向になったのですか。きっかけはありますか?

勤務地候補の中から中国駐在に立候補しました。中学でも大学でも中国を訪れて人口の多い国にはビジネスチャンスがあると思いましたね。上司との面談で一生中国勤務でもいいのか聞かれましたが良いと答えたことから、現在中国で伊藤忠出資の物流会社社長を務めるに至っています。

僕は子供の頃、親の言うことを聞くタイプではありませんでした。日本以外を知らない「井の中の蛙」だから怖いもの知らずなのだ、海外を知って考え方を改めてほしい、という親の意向もあって日本から近く発展途上だった中国に行きました。中国との縁もあったのだと思います。

宮下さんは中国で長くビジネスをされていますが、中国でビジネスをしていて良かったことはありますか?

まず、私は日本でバブルが崩壊した直後に就職したわけで、明るい将来を見てきたわけではないのです。逆に当時の中国は発展途上のような国であったため、中国にいて発展する自分の国を信じている人たちと働けた、というのは良い経験になりました。
また、その経験は文化事情などでできなかったこともありますが、ある程度のことは他の国でも使えることもあるんですよ。だから今、例え違う国に行ってもこの経験を活かすことができると思います。

後輩へのアドバイス

宮下さんは伊藤忠商事に入社され、現在は物流関係の仕事をなされています。経験豊富な宮下さんからみて、商社、また物流業界ではどんな人材が活躍しているか教えてください。

世の中は良く変わるので、10年前に良かった人材が今現在評価されるかについてはまた違うと思います。何が良いというのは実はなくて、自分として軸を持って世の中の動きにうまく合わせて対応できるというのが、物流や商社などの業界に関わらず生き残れる人材だと私は思います。

また、自分がやりたいこと、自分とは何なのかを把握して、そういう変わった世の中に対応していくのも重要なことだと思います。自分の事をきちんと把握しておけば、よその業界に行くことがあっても違う仕事をすることがあっても、ぶれずに仕事をすることができるのです。

これから就職活動を控えている私達にとって、宮下さんのお話は貴重なものでした。どんな時代・どの業界でも自分がやりたいこと、自分の性格を見極めながら変化に対応できる人材が求められていると感じました。私達も「目先の企業の業績」のみにとらわれるのではなく、自分と向き合い「軸」を見つけていきたいです。(取材:唐成ゼミ 俣野・山本)

【宮下康治さん 略歴】
1994年3月 中央大学 経済学部卒業
1994年4月 伊藤忠商事株式会社入社
1995年以降、中国を中心としたアジアの物流会社の経営管理に携わるとともに、30歳前から中国現地物流会社のマネージメント(社長、副社長)として、複数会社の経営に携わる。
現在も伊藤忠商事100%子会社 大藤物流(上海)有限公司の社長として、上海に駐在中。

タイトルとURLをコピーしました