卒業生で外交官の伏木さんが、日仏協力のラウンドテーブルに登壇

学生と卒業生

中央大学経済学部卒業生で外務省で活躍されている伏木 光英(ふせぎ みつひで)さんが、2021年12月4日(土)にフランスのストラスブール政治学院で開催された、インド太平洋地域における日仏協力に関するラウンドテーブルに登壇しました。

伏木さんは2001年に本学経済学部を卒業後、2003年に東京外国語大学大学院国際協力専修コースに入学し、2005年に同大学大学院を修了後、外務省に入省しました。その後、アルジェリア、ジュネーヴ、コンゴでの勤務を経て、2021年現在はフランス・パリの日本大使館で勤務しています。

伏木氏から日仏協力ラウンドテーブルの報告と、本学在学生へのメッセージをいただきました。

左が伏木さん。右は経済学部フランス語教員の渡邉教授。写真出典:中央大学メディア「Go! Global」

2021年12月の土曜日、フランス東部ストラスブール。この時期、フランス随一の規模を誇るクリスマス市が街を彩る。時折小雨が吹き付ける中を歩く家族連れや、友人同士のグループには笑みが溢れる。昨年、新型コロナウイルスの影響で開催が見送られた地元のクリスマス市を心から楽しむ、悪天候程度では挫けない、2年分の想いが込められた笑顔なのであろう。

今日は、ストラスブール政治学院(Science Po)の大学院生からの招待を受け、パリから2時間の道のりをTGV(高速鉄道)に乗ってやって来た。インド太平洋における日仏協力に関するラウンドテーブルに登壇するためである。

ストラスブールのクリスマスマーケット(写真AC)

さきほど、中央駅のホールに降り立った時ふと、今から20年以上前、中央大学からの交換留学生として、初めてストラスブールの地を踏んだ日のことを思い出した。当時はまだTGVが開通していなかったから、在来線でパリから4時間の道中だった。その間、首都の喧騒から牧歌的風景に移り変わる車窓は、寂寥感を醸し出した。人生初の海外生活を独りで送ることになる私は、ホームシックを催すとともに、留学に来たことを酷く後悔していた。というのも、ストラスブール大学入学前に2週間ほど居候していたパリにおいて、ネイティブの早口のフランス語をほとんど理解できず、また自分の意志を言葉にできずに会話が成り立たなかったことで、徹底的に打ちひしがれていたのである。

しかし、そんな私はいつのまにか、外交官になり、それなりに海外生活にも慣れてきて、今日はグランテコール(注)のフランス人大学院生を相手に、両国のインド太平洋における協力関係についてフランス語で解説するというのだから、人間万事塞翁が馬、全く不思議なものである。

(注)高校卒業資格で入学できる大学(ユニベルシテ)と異なり、選抜試験への合格を要する高等教育機関。

 

一昨年に場所を移転したという政治学院の中に入ると、建物内部は白を基調とし、中央が吹き抜けた幾何学的構造になっていて、清潔感と解放感に包まれていた。
今回のラウンドテーブルには、私の他にもう1人、日本の歴史研究家であるタヤラ・パリ国立東洋言語文化学院(INALCO)元教授が登壇することになっていた。タヤラ元教授は、流暢な日本語で、新型コロナ禍以前は、年に3回程度訪日していたと教えてくれた。特に、江戸時代から明治時代までの会津若松の歴史に造詣が深いとのことである。

冒頭、まず私から、インド太平洋において日本が直面する課題等を説明し、次に、タヤラ元教授の視点から同様にプレゼンテーションが行われた。
タヤラ元教授は現役を退いており、最近は講演する機会は減ったとのことだが、インド太平洋を含め、日本を中心とする国際情勢を丁寧に説明した。そして、数日前に行われた国際会議の内容や、要人の細かい発言までも的確にフォローしていたのは、僭越ながら流石というほかない。

次いで私から、アフリカで勤務した自らの経験を踏まえた見方を含め、日本とフランスとの「特別なパートナーシップ」に基づくインド太平洋における両国の協力の進捗状況等についてプレゼンを行った。質疑応答のセッションでは聴衆の大学院生から、日本の強みであるソフトパワーをもっと外交に活用すべきだとか、日EU協力の進捗状況はどうかといった、示唆に富むコメントや質問がなされるなど、日本に対する彼らの理解と関心の高さがうかがえた。

約1時間半のラウンドテーブルは、聴衆の学生や一般の方々には、日仏協力をより身近なものと感じていただけたのではないかと思う。私にとっても、タヤラ元教授のプレゼンテーションは格別、学生の皆さんの発言から新しい視点を学ばせてもらう機会となり、有意義であった。

最後に余談だが、大学院生グループの代表者は日本に留学経験があるようで、聞けばなんと中央大学というではないか。多摩キャンパスが懐かしいというので、私は実は中大卒業生であると切り出して、その後話が盛り上がったことはいうまでもない。

私は、これからも志のある学生の皆さんの活躍を期待し、応援していきたい。

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