モンゴル国観光の発展の可能性について、モンゴル国外務省で発表

学生と卒業生

8月23日にモンゴル国外務省で外交関係樹立50周年記念大クリルタイ(=シンポジウム)が開催されました。本クリルタイは、モンゴル国外務省からはバトツェツェグ外相、日本政府からは小林弘之特命全権大使、さらに両国の友好親善団体が出席した、日本・モンゴル外交関係樹立50周年記念事業でした。

私たちは、本年6月から7月にかけて日本の大学生625人に対して実施したアンケート調査の結果を受けて、モンゴル国観光業における問題点・改善点を本クリルタイで報告するとともに、別途、記者会見を開催して、それらをモンゴル国国民へ訴える機会を得ました。

日本とモンゴル国の交流の柱となってきたのは日本の友好諸団体ですが、高齢化のため交流に支障が出てきています。アンケート調査は、今後は私たちのような若い世代間の相互理解を推進することが重要であるとの視点から実施したものです。

コロナ禍での研究の限界と新たな気づき

私たちはFLP清水ゼミに所属し、モンゴル国の観光業を研究しています。本来であれば毎年モンゴル国に渡航し現地調査をする予定でしたが、新型コロナウイルスが世界中で蔓延したことによりこれまで一度もモンゴルに渡航する事が叶いませんでした。そこで渡航できない期間はモンゴル国立大学の方々と交流し、互いの研究内容に関する情報交換を行なっていました。

現地調査はできませんでしたが、オンラインという交流方法により発見できたこともありました。その一つが、モンゴルにはたくさんの魅力が詰まっているにもかかわらず、その魅力を知らない日本人が多すぎる、ということです。日本にはモンゴルの情報が少なすぎるのです。

そこで私たちはこの問題の解決策をモンゴル国立大学の方々と共に模索しました。私たちは日本の大学生のモンゴル観について、また、モンゴル国立大学側はモンゴル国の大学生の日本観について、それぞれ意識調査を行いました。

※FLP(ファカルティリンケージ・プログラム)
幅広い学問領域をもつ総合大学のメリットを生かし、学部を横断して実践的な課題に取り組む制度です。5つのプログラムがあり、少人数制のゼミ形式で学際的な視点を養います。

日本人学生はモンゴル国に魅力を感じない?

私自身も清水ゼミに入るまでは、モンゴル国の事を何も知らなかったと言っても過言ではありませんでした。では現段階で実際どれだけの日本人がモンゴル国を知っているのでしょうか。私たちが行ったアンケートでは日本とモンゴル国の学生ではお互いの国への認知度に大きなギャップがある事が明白になりました。

モンゴル国の学生を対象としたモンゴル国立大学側のアンケート調査では、海外旅行を希望する90%以上の学生が日本に行きたいと回答する一方で、コロナが明けてからモンゴル国に旅行したいと思う日本の学生は全体の20%程度に過ぎず、更には全体の80%以上の日本人学生がモンゴル国に魅力を感じていないということが分かりました。そして、日本人学生がモンゴル国に魅力を感じない最大の要因は、「モンゴルに何があるか分からない」点でした。

私たちは日本人学生を対象とした海外旅行についてのアンケート調査から「事前にどのような情報を調べるのか」「どのような媒体で情報を取得するのか」といった項目の回答に注目し、モンゴル国で「どのような体験ができるか」、「観光する際に必要な情報」という2つの軸に沿った情報発信の必要性を訴えました。

大クリルタイでの発表

私たちはこの成果を、日本・モンゴル外交関係樹立50周年を祝う大クリルタイで最後に発表させていただきました。周りは、モンゴル国初代大統領など私たち学生が並んで座っていていいのかと思うようなすばらしい経歴の方々でしたが、私たちの発表を写真におさめるなど、とても真剣に聞いてくださいました。

大クリルタイの様子。中央奥側に室田さん。

その後も私たちの研究結果をモンゴル国民の皆さんにも知って貰おうと記者会見も開きました。会場にはたくさんのテレビ局や新聞社の方々が来てくださり、その様子は、モンゴル国で最も多くの読者をもつニュースサイトgogoikon、モンツァメ国営通信、Today紙やTV6他、多くのチャネルで紹介されました。

記者会見に臨む室田さん(中央) 写真出典:https://gogo.mn/

モンゴル国内での反響も大きく、モンゴル国の多くの友達から、私たちのことが掲載されていると教えてもらいました。

広大で温かい国、モンゴル

今回私自身も初めて自分の目でモンゴル国を見ました。今まで画面上のみでしか知りませんでしたが、モンゴル国は画面で見るよりも広大で温かい国でした。モンゴル国には日本が大好きな人々が多いです。ぜひ日本の人にもモンゴル国を知って欲しいです。

今回の私たちの発表が少しでもモンゴルと日本の間のギャップを取り除き、2国間の交流の発展に貢献できたなら光栄です。

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