2022年の夏季休暇を二週間ほど利用して、中国の大学にオンラインで留学する「HSK名門大学オンライン中国留学プログラム」に参加しました。そこでプログラムの概要と、実際に受講してみての感想などを述べたいと思います。
どんなプログラムなのか
オンライン留学と聞くと「それは留学とは言えないのではないか」と思われがちです。しかしながら実際の留学と遜色ないように”設定”されているので学習面を含めて心配は必要ありませんでした。今回私が参加したプログラムは「李姉妹×HSK オンライン留学in中国 – 第8弾(復旦大学)」というものです。
李姉妹といえば中国に関する情報を積極的に配信している人気ユーチューバーです。そんな李姉妹と、中国の教育部(日本の文部科学省に相当する)が認定する国際基準の中国語検定試験HSK(漢語水平考試)本部が共催して提供するものでした。プログラム名にあるとおり、過去すでに7回開催されており、留学先大学がさまざまに用意されている中で、上海の名門大学・復旦大学に「行く」というプログラムでした。
このプログラムの最大の特徴は、「コミュニケーション能力の強化を主とし、現地の学生を交えて復旦大学の紹介や、上海の名所、グルメ、中華文化などを学ぶこと」。つまり、中国語の学習だけでなく、現地の学生との交流や、各文化体験の授業があり、どの授業も中国語で行われました。
そう聞くととても難しそうに聞こえるかもしれませんが、実際には自分の語学レベルに合わせて「初級」・「中級」・「上級」とクラスを選択することができます。初級クラスは日本語を話せる講師が担当してくださるので、本当に困ったら日本語を使うこともできます。さらに各クラスは「昼の部」と「夜の部」に分かれているため、自分の都合に合わせて選択することができます。
私は中国語学習を始めて1年半ほどであることや、夜はアルバイトが入っていたことから、「初級クラス」/「昼の部」を選択しました。
オンライン留学「だから」行けた!
オンライン留学には、時間に縛られないことのほかに、金銭面のメリットがあります。基本的に家で受講するオンライン留学は宿泊や移動等の費用が一切かかりません。今回私が参加したプログラムも7万円ほどでしたのでかなりの安価で留学することができました。また海外に出ることに不安がある人もオンラインであれば安心して受講できます。プログラム修了後には「修了証」が留学先の大学から発行され、履歴書に記載することもできます。
受講生について、今回はほとんどが日本人でしたが、年齢層がばらばらであるため、休憩時間に人生相談などをすることもできてコミュニティが広がりました。オンラインであっても同じ目標を持った様々な世代の人びとが切磋琢磨して学び合うことで、多くの知的刺激を得ることができたと思います。留学には行きたいけれどいろいろなハードルがあって諦めている人など、多くの方におすすめできます。
発音の上達を実感できた授業
ここから先は私が実際に「HSK名門大学オンライン中国留学プログラム」に参加してみた動機と感想を述べたいと思います。そもそも私が今回のプログラムに参加しようと決めたきっかけは中国語の授業で担当の先生から説明があったことでした。大学入学前から留学はしてみたいと思っていましたが、金銭的な問題からほぼ諦めていたため、このプログラムにとても魅力を感じて参加を決意しました。
実際に参加してみて一番感じたのが、留学先の大学講師の説明がとても丁寧だったという点です。母語を外国人に教えるのは難しいことですが、熟練したプロの講師陣を揃えているという事前説明のとおり、大変わかりやすい授業をしてくださいました。そのおかげで今まで「感覚」的に覚えてわかっていたつもりの部分も論理的解釈を交えて学び直すことができ、より理解が深まりました。
また、授業中に中国語で発言する機会がとても多くありました。「中国語は発言して覚えていく」と1年次に言われたとおり、まさにそうだ!と感じました。毎回、講師の方が細かく指摘・訂正を行ってくださるので、より正確に発音ができるようになります。日本人に馴染みある例を使って工夫して説明してくださったことも理解につながりました。
オンラインで文化体験!
今回のプログラムでは先述の通り中国語の授業のほかに文化体験の授業があり、中国の伝統的な楽器や水墨画などを体験学習しました。どれも初めての経験ばかりで、中国語そのものの学習に比べて大変さはありましたが、楽器や水墨画が完成したときは素直に嬉しく思い、まるで小学校の頃に戻ったようでした。
こうした体験型の授業を受けながら、改めて日本は中国文化の影響を受けている部分が多いと感じました。体験してみて得られた成果だと思います。
オンライン留学は自分を変えるきっかけだった
私はこの二週間にわたるプログラムを通して中国に関する知識を増やし、中国語が上達しただけでなく、自分の中で大きく変わったと思う点が1つあります。それは「恥を捨てる」ことも大事だということです。
私を含め日本人の多くは恥をかくことを嫌う傾向にあると思います。自分もプログラム受講前は中国語の授業中に人前で発言することがあまり得意ではなく、恥ずかしいという思いから、文章などを適当に読んでしまうことがありました。しかし受講後は、「恥ずかしがっていたら伝えたいことは何も伝えられない」ということに気づき、積極的に、そして丁寧に発言するようになりました。
人はきっかけと意志さえあれば、容易に変わることができると思います。私にとってのきっかけが今回のプログラム参加でした。もしもこの文章を読んでオンライン留学プログラムに興味を持った方がいたら一度参加してみませんか。中国語が上達するだけでなく、もしかしたら自分を変えるきっかけになるかもしれません。
経済学部(中国語)では2018年度より中国短期留学支援を行っています。
新型コロナ感染症拡大の影響で中断を余儀なくされましたが、2022年度は夏の短期留学(オンライン)を再開することができ、2回の事前説明会に合計116 名の参加者がありました。2023年度も夏の短期留学支援(オンラインに加えてリアル留学も可能になる見込み)を行います。長期留学も随時サポートしています。
留学は「行きたい」と思った時が「行く」時なのかもしれません。きっと新しい世界が開かれていくことでしょう。経済学部には留学のための奨学金制度も用意されています。留学の相談をしたいと思ったら、まずは身近な中国語担当教員にどうぞお声がけください。 (中国語担当 子安加余子)